KNIGHT SWING TOP

M A S U（エム エー エス ユー）ブランド名は、日本語の敬語に使用される「～ます」に由来。コンセプトは「マス/プロダクト(MASU / PRODUCT)」洋服が好きな人達にとって価値が無くならないアイテムやスタイルを提案している。
2025 Spring Summergrayish tale蔦が長い年月をかけて壁を覆うように、時が経ち、いつの間にか慣れ親しまれるようになったもの。“ 当たり前 ” という前置きが似合うもの。それらは時に、安心や満足と手を結びながら平凡を意味し、時代やジェネレーションの移ろいに呼応し、ごく稀に硬直した概念やスタイルが人々の心と思いがけない摩擦を起こすことがあるのかもしれません。歴史とはレガシーであり魅惑的なコードに満ちた、もっとも尊重すべきもののひとつと考える後藤愼平にとって、 そのひとつは “ トラッド ” や “ アイビー ” のスタイルでした。 
既存を疑うことのできる想像力こそ異なる物語を綴ることができます。パリのオスマン通りで披露された 2025 年春夏コレクションは、トラッドやアイビーに正対した直裁的な再解釈に溢れています。成熟した蔦のような “ スタイル ” と、それらのシンボルともいえるアイテムや着こなしに、いつもと変わらぬ軽やかな視点を向けた彼は、ネイビーブレザー、マリンボーダー、アーガイル……を解きほぐし、常套句をスライスするだけでなく、スモッキングによりテ クニカルにフォルムを転換し、アコーディオンプリーツ加工によってクラシックをデフォルメすることで、気取ることなく概念を解放していきました。スタイルという抽象性から脱皮した、やんちゃなコレクションは、親近感とアーティスティックなドレッシングの出合いとも言い換えられ、もうひとつの物語（tale）の始まりを後藤は真に眼差しています。
また、現在のM A S Uにとって、コラボレーションは彼のビジョンをより広いテリトリーに解き放つ現代的なアプロー チと言えるでしょう。1950 年代よりアメリカンカルチャーを取り入れ日本にアメリカントラディショナルスタイル を浸透させ、日本の流行を牽引していた石津謙介氏による VAN JAC（ヴァン ジャケット）とは、ペーパーバッグ風のクラッチだけでなく、日本のファッションを変革し未来の王道を築いた石津氏に敬意を表し、ベートーベンスウェッ ト ( 偉人スウェット ) 風に彼の肖像をプリントしたスウェットシャツに。24年秋冬に続き、VERDY氏は、MASU BOYS CLUBという文字とエンブルム、腕に巻きつく蔦のグラフィックを描き、メモリアルパンツには VERDY氏と デザイナーを繋いだ友人のJohnの名前やブランドにまつわるワードが彩ります。
「型があって、異端が現れ、軽蔑される一方で、熱狂もし、それが主流になってクラシックになる。日本のファッショ ンはそうやって耕されてきたが、この土壌で呑気に過ごしていたくはない。少しもいぶかしむことなく、クラシックな国になりつつある日本において僕は MASU BOYSの力を借りて、灰色の姿勢がファッションの未来に接続し続けることを言い続けたい」。MASU BOYSが生きている以上、アイビーの物語を「めでたしめでたし（Happily ever after）」と締めくくるにはまだ早いのだ。  
・背抜き裏仕様のドリズラージャケット・高密度のコットンギャバジンを使用・着丈は長めで、袖や身頃などはフィット感のある縦長のシルエット・古き良きスウィングトップの意匠は残しながらも身頃から入るプリーツはウェストを起点に広がり、甲冑のようなシルエットに・慣れ親しんだものも、視点を変えれば新しいものにできることを表している
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